大地の子エイラ | ブレッド&サーカス・ブログAbsolutely Delicious!

大地の子エイラ

始原への旅だち「大地の子エイラ」(評論社)

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中村妙子さんという翻訳家が大好きで、たぶん、その名にひかれて手に取ったのが最初だったと思います。

昔からの知人なら知っていることですが、恐竜好き太古の物語好きという趣味もあったと思います。

なにしろ上・中・下の3巻なりたちですから、余裕のあるときに読もうと思っていました。

でもちょっと見てみよう・・・・・とページを開いたらもうだめでした。

あっという間にひきこまれて気づけば何時間も没頭していたのです。

おもしろいなんてもんじゃない。

検視官ケイ・スカペッターシリーズもアガサクリスティーもレイモンドチャンドラーもかすむほど。

物語の内容を以下に要約します。



紀元前約三万年におきた大地震で両親をはじめ周囲の人間すべてを失い、

たったひとり生き残った新人類クロマニヨン人の子、幼いエイラは、

途方に暮れてさまよいつづけ、何度も危機に瀕しながら流浪していきます。

旧人類ネアンデルタール人(平頭と表記されている)の部族に拾われ、助けてもらって、

言葉をもたない異人類のなかで、育てられ、生きていくことになります。

強い意志と才能をぞんぶんにいかして、前向きに生きるエイラをめぐり、

遥か太古の人類の祖先たちの、壮大な冒険とロマンが展開していきます。

なによりぜったいにくじけない、あきらめない、エイラがすばらしいです。


「こんな分厚い本、たぶん途中でほうり出すことになるでしょうね」などといいながら

この本を手に取り、けっきょく一気によみとおしてしまい、

読み手をぐいぐい引っぱっていく力に感心し、ぜひとも紹介したいと思ったという、

翻訳者”中村妙子”氏のまえがき(1983年)から少しだけ抜粋します。

これは訳者が大地の子エイラの仕事に入るときに符合したように、

大阪の女性が「人類のロマン、子孫に残そう」という題で朝日新聞に投稿した文章だそうです。



「生物の進化の過程で、極限に近く進化したものは絶滅するという。

人間だけが、この種の断絶から解放されるのだろうか。

7万年前、ネアンデルタール人はすでに宗教思想を持ち、死者に花を供えたという。

死者への畏敬、花を愛する心をもっていた彼らを知ったとき、

人間の善なるいじらしさが恋しくなった。

私たちが失ってしまったのは人間の原初の精神である。

今年、私は人類の遠大なロマンに改めて感動してみたい。

謙虚でいじらしく、ロマンチストでありたい。

文明の悪しき拡散へのせめてもの抵抗として。」




いつか時間ができたら再びエイラの世界に浸りたいと思い続けて、

大切にしまっている本です。

もしよろしかったら「大地の子エイラ」を手に取って、ロマンを感じてみてくださいね。




福井県の恐竜博物館に行きたい~。ブレッド&サーカスでした。