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うしろすがたのしぐれてゆくか


ブレッド&サーカス・ブログAbsolutely Delicious!-20110517


もう20年以上前、池田遥邨展(いけだ ようとん)展に行った。

それから20年余を過ぎてなお胸に思い描く一枚が、
「うしろすがたのしぐれてゆくか」
である。

80歳半ばをすぎてスランプから脱し、
種田山頭火の句に深く共感し,魅せられて、
ふたたび絵筆をとった池田遥邨の熱い気持ちがこもった一枚だった。

最晩年の池田遥邨の、山頭火の句に呼応する画すべてが
強烈になにかを語っている気がした。
ながく余韻を楽しむことができた個展であった。

     *

夕景に月が小さく光っていた。
わたしはそれを見上げて
「うしろすがたのしぐれてゆくか」
とつぶやいて、
90歳近くなり、自分を熱く鼓舞してくれるものと出会えた
池田遥邨をしあわせな画家だと思った。


     *


ブログは、

おなじ夕空を見上げていても遠くはなれている、

友人や大好きな人とわたしをつないでくれる。


わたしは元気にしています。

きょうもおいしくパンが焼けました。

いつもとなにも変わっていません。

またきっと、会いましょうね。



ブレッド&サーカスでした。


北の春


ブレッド&サーカス・ブログAbsolutely Delicious!-tutuji


北に春が訪れるころ、関東地方ではツツジが満開になります。

近所の公園の白ツツジがきれいに咲いていたのでパチリ。

携帯撮影で不本意です。でも美しいですね。


震災による筆舌に尽くしがたい、おおいかぶさるような大きくて強いかなしみは、

前に進む勇気を奪いました。

天災と人災の両刃で、突然、日本に襲いかかるようなできごと。

この混乱は長く尾を引いて、この先も延々と人々を取り巻いてゆくのでしょう。


日本は野党と与党が入れ替わり、大震災が起こり、

イギリスではウィリアム王子のご成婚というお祝い事があり、

一方テロリスト集団のトップに君臨するビンラディンが殺害され、

歴史がめまぐるしく変わっていく2011年が、やっと、5月を迎えました。

とても長い1年になりそうです。


この先わたしたちはいったいどこに向かうのだろう。

つい、そんなことを考えてしまう最近でしたけれど、

この真っ白いツツジがぱあっと視界にはいってきたとき、

とても心がかるくなりました。


花が咲き、北国にも春が訪れ、やがてまたわたしたちは

きっと平穏な日常をとりもどすでしょう。

それが今までとちがう日常となったとしても、

前に進もうと思えることでしょう。


このゴールデンウィーク中のブレッド&サーカスは、

まったくいつもとかわりのないにぎやかな日々です。


ご来店くださったお客様方、ほんとうにありがとうございました。

たいへんなよろこびでございます。

そしてチカラをいただきました。

また一歩ずつ、がんばりたいです。

みなさまとともに。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。


ブレッド&サーカスでした。

ご成婚イギリス版

店内で突然に携帯の着信音が鳴るお客様があります。
そのハプニングが大好きなのです。

「ずん、ずんずんずんどこ。き・よ・しぃ~」

氷川きよしさん、いいですよね、大好きです。
コンサートに行きたいです。
思いがけず、この着信音を聞くことができたときは、
やったね、と思いました。

先日、はっとする着信音を聞きました。
イギリスのビッグベンの鐘の音です。
着信音なのに荘厳です。
ああいいなぁと思いました。
あれはどうすればダウンロードできるんでしょう?
それともご自分で録音して、それを着信音にされたのでしょうか。
今度ぜひうかがいたいです。

さて、イギリスの世紀のご成婚が近づきました。
容姿端麗のおふたりの結婚式はどれほど華麗なものなのでしょう、
たのしみですね。
日本がこのようなときに、ヨーロッパはなんと遠い国でしょう。
それでもやはり、祝福を。



ブレッド&サーカスでした。

大地の子エイラ

始原への旅だち「大地の子エイラ」(評論社)

ブレッド&サーカス・ブログAbsolutely Delicious!-eira

中村妙子さんという翻訳家が大好きで、たぶん、その名にひかれて手に取ったのが最初だったと思います。

昔からの知人なら知っていることですが、恐竜好き太古の物語好きという趣味もあったと思います。

なにしろ上・中・下の3巻なりたちですから、余裕のあるときに読もうと思っていました。

でもちょっと見てみよう・・・・・とページを開いたらもうだめでした。

あっという間にひきこまれて気づけば何時間も没頭していたのです。

おもしろいなんてもんじゃない。

検視官ケイ・スカペッターシリーズもアガサクリスティーもレイモンドチャンドラーもかすむほど。

物語の内容を以下に要約します。



紀元前約三万年におきた大地震で両親をはじめ周囲の人間すべてを失い、

たったひとり生き残った新人類クロマニヨン人の子、幼いエイラは、

途方に暮れてさまよいつづけ、何度も危機に瀕しながら流浪していきます。

旧人類ネアンデルタール人(平頭と表記されている)の部族に拾われ、助けてもらって、

言葉をもたない異人類のなかで、育てられ、生きていくことになります。

強い意志と才能をぞんぶんにいかして、前向きに生きるエイラをめぐり、

遥か太古の人類の祖先たちの、壮大な冒険とロマンが展開していきます。

なによりぜったいにくじけない、あきらめない、エイラがすばらしいです。


「こんな分厚い本、たぶん途中でほうり出すことになるでしょうね」などといいながら

この本を手に取り、けっきょく一気によみとおしてしまい、

読み手をぐいぐい引っぱっていく力に感心し、ぜひとも紹介したいと思ったという、

翻訳者”中村妙子”氏のまえがき(1983年)から少しだけ抜粋します。

これは訳者が大地の子エイラの仕事に入るときに符合したように、

大阪の女性が「人類のロマン、子孫に残そう」という題で朝日新聞に投稿した文章だそうです。



「生物の進化の過程で、極限に近く進化したものは絶滅するという。

人間だけが、この種の断絶から解放されるのだろうか。

7万年前、ネアンデルタール人はすでに宗教思想を持ち、死者に花を供えたという。

死者への畏敬、花を愛する心をもっていた彼らを知ったとき、

人間の善なるいじらしさが恋しくなった。

私たちが失ってしまったのは人間の原初の精神である。

今年、私は人類の遠大なロマンに改めて感動してみたい。

謙虚でいじらしく、ロマンチストでありたい。

文明の悪しき拡散へのせめてもの抵抗として。」




いつか時間ができたら再びエイラの世界に浸りたいと思い続けて、

大切にしまっている本です。

もしよろしかったら「大地の子エイラ」を手に取って、ロマンを感じてみてくださいね。




福井県の恐竜博物館に行きたい~。ブレッド&サーカスでした。

レクイエム

最近は携帯電話でなんでもできますね。
災害時にも携帯電話が活躍をしていました。

東日本大震災、と、この文字をコンピュータで打ち込むだけでも、
ここらがざわざわと落ち着きません。
まだなまなましくて口にできないここ最近の日々を思うと、
きょうという日を、いまという時を、感謝せずにはいられません。

犠牲者となられた方々のこと。
ひとりひとりに人生があり家族があり夢も希望もあったことでしょう。
一瞬ですべてをなくすことが想像できたでしょうか。

きょうも湯河原にやや大きい地震がありました。
大地震も津波も対岸の火事ではなく、いつこの身に降りかかってもおかしくない、
起こり得ることなのですよね。

あきらめたら、その場で、終わる。
このことを生涯肝に銘じて、これからの日々を生きていきたいと思います。


     **

わたしは携帯で「クラシックエッセンスフル」というチャンネルを契約しています。
ネクサスというクラシック専門のレーベルが運営しているものです。
そこでJ.S.バッハ永遠の名曲「主よ、人の望みの喜びよ」を、
たくさんの方がすこしでも心穏やかに過ごせるように願って、
4/30まで無料で提供しています。
ぜひ携帯でアクセスして無料のダウンロードをご利用ください。

J.S.バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」 → (Click!!)
携帯にURLを直接入力される方は以下になります。
http://full.cnews.jp/?jump=present01

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そして犠牲者の方々を悼みブラームスのレクイエムをささげたいと思います。
夜、ひとりこのレクイエムを聞いて、余震でときおり揺れるベッドの上で、
さまざまなことを思いました。



ブレッド&サーカスでした。